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2021年01月08日

「売られていった靴」を朗読するためのヒント 〜その3〜

さあ、「売られていった靴」の三行目からの私見を述べます。

するとひとりの旅人(たびびと)がやってきて、その靴(くつ)を買いました。
 
 兵助の初めてのクライアントが「旅人」であるということが重要です。つまり兵助は自分の作った靴と再会する可能性が極めて低いということになるからです。
 ちなみに現代のように服に合わせて靴を変えるというような考えはなく、せいぜい洋服なら靴、和服なら下駄や草履という時代です。
「旅人」ですから、おそらく履きつぶした靴と履き替えるために兵助の靴を買ったのでしょう。ですから「買った」この時点で、兵助の靴は「旅人」に履かれています。

兵助は、じぶんのつくった靴(くつ)がはじめて売れたので、うれしくてうれしくてたまりません。

 モノづくりの喜びが伺えます。自分の作ったモノが他者に評価されたということです。「うれしくて」という言葉が繰り返されていることから兵助の「喜ぶ」という内的動詞を表現しないといけないでしょう。具体的には2回目の「うれしくて」は1回目より音程を上げた方が良いと思います。

「もしもし、この靴(くつ)ずみとブラシをあげますから、その靴(くつ)をだいじにして、かあいがってやってください。」と、兵助(へいすけ)はいいました。

 たかが物体である「靴」のことを「だいじにしてかあいがってやってください」とまで言う兵助です。
 ここから「自分が作った靴」は兵助にとって「自分の子である」という意識を読み取ることができます。子を思う親の気持ちだと理解できます。
 読み手は兵助の「親としての心情」に共感して少なくとも「(子供を送りだす)喜び(喜ぶ)」という内的動詞と、「(子供の行く末を)案じる(心配する)」という内的動詞をカギカッコのセリフに複合的に出力させないといけないでしょう。課題となるのはその割合をどうするかということです。この内的動詞の配合の割合をどうするかということは人によって異なるので、それがその朗読者の個性だと言えるでしょう。

 「喜ぶ」を大きく表現する人もおれば、「案じる」を大きく表現する人もいるでしょう。
 私の教え子のある人は「案じる」(心配する)を大きく表現しました。さらにその表現からは「靴(=子供)と別れる悲しむ(み)」も表現されていたように思います。
 その結果、その朗読は「優しい」表現になりました。私は自分の好みで言えばこういう表現が好きです。しかし、演出上の観点で、まずはこの時点では「喜ぶ」を大きく表現した方が良いという考えもあると思います。

 さあ、このような兵助の言動に「旅人」はどんな感想を抱くのでしょうか?
ラベル:新美南吉
posted by 塾長 at 01:46| Comment(0) | 朗読 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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