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2019年06月20日

浦島を知らない子供たち その二

「物語の主役は最も劇(はげしい)的な行動を執った、あるいは大きく生き方(考え方)を変えた人物」

それが前回のブログでの私の主張でした。

そこで、どんな物語であれ、各登場人物の「行動」の変遷を見て行くことで、その人物の「劇的行動」は明らかになると思います。
サンプルとして「浦島太郎」の行動を見ていくことにします。主語を必ず「浦島太郎は、が」というものにします。こうするとわかりやすい。

浦島太郎は(が)……

@亀を助けた
A竜宮城に行った
B乙姫に会い、もてなされた(受動的行動)
C竜宮城での生活を楽しんだ
D故郷に帰りたいと思った
E乙姫から、開けてはいけない玉手箱を貰った(受動的行動)
F故郷に帰った(必然的帰結)
Gたどりついた故郷は、すでに見知らぬ土地であり、見知らぬ人々ばかりだと知った(事実の確認)
H玉手箱を開けた
I老いた

ま、ざっとこんなところでしょう。
受動的行動や必然的な帰結など、浦島太郎の「主体的行動」以外のものはさして重要ではないと思います。

@は物語の発端となるエピソードですから、かなり重要でしょう。これがないと少なくともA、B、Cはありません。
つまり@は起承転結の「起」にあたる部分、「問題提起」ですね。
するとA、B、Cは「承」に当たります。※ちなみにこの「起」と「承」を合わせて「序」と呼ぶこともあります。

そうなると「転」はどれか自ずと知れます。
D故郷に帰りたいと思った
ということになります。※この「転」は先の伝で言うと「破(は)」と言うそうです。

これで浦島太郎の物語は「人間は享楽よりも望郷の念のほうが強く大切に思うものなのだ」ということを描いた物語だと言えます。

ところが物語はさらに浦島太郎に試練を与えます。つまりG以降の状況、すなわち「結」の部分です。

※これも先の伝で言うと「急」というそうです。物語の構成は、昔は「起承転結」ではなく、「序破急」でした。

自分を知る人がいない、自分が知る場所ではないということは「自己の喪失」を意味するのではないでしょうか?
つまり「死んだも同然」という状況です。
浦島太郎は「自分という存在を取り戻す」ための手段になるかと考えて玉手箱を開けます。これは劇的行動ですね!
結果は「老い」をもたらしました。
単に「失われた時間」だけがかろうじて戻ってきたのです。

「失われたものが戻ってくる」ということは、ある意味で幸せなことかも知れません。
一方で、浦島太郎は竜宮城での楽しい時間や乙姫との甘美な思い出だけを胸に秘めて生きていくのかも知れませんね。それも幸せと言えるのかも知れません。

さて、浦島太郎に玉手箱を渡した乙姫は、いったいどういう思いでそういう行動に出たのでしょうか……
私には不可解です。

「私のことは忘れてください」と思っていたのでしょうか?
あるいは…
「私との思い出だけを大切にしてね…」と思って渡したのでしょうか?
不可解です。

しかし、いずれにしても乙姫の行動も「劇的」な行動として捉えることも可能なようです。
そうなると、浦島太郎の物語を「乙姫の物語」(乙姫が主役)として解釈することもできそうです。

このように、物語は「誰の行動を劇的(主役)と捉えるか」によって重層的解釈が成立します。
皆さんもご自分の知っておられる物語の主役を問い直して見られたら、新たな視点でその物語を解釈できるかも知れません。

さて……

以上のような解説をあるところで十代の若者たちにいたしました。
すると、なんと!
全体の2割強の若者たちが「浦島太郎の物語を知らない」という事実に直面しました!!

故郷に帰った浦島太郎の孤独が、少しわかったように思います。



posted by 塾長 at 00:48| Comment(0) | 演技 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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