2018年8月からしばらく閉講します。 また年度変わりに受講生を募集してみます。

小学校低学年から大人まで、年齢も性別も分野も幅広く習うなら「まふじ演技スタジオ」へ!

まふじ演技スタジオ連絡先.jpg ←まふじ演技スタジオへのお問い合わせ

2016年09月04日

白地に赤く…染めて…

またショートショートを書きました。
今回はあまりオチのない、いや…救いのない話かも知れません。

でも、私のちょっとした実体験がベースになっています。
宜しければ読んでください。
--------------------------------------------------------
【白地に赤く…染めて…】

 真っ白なジーンズは御洒落だ。
 何しろ「汚れ」が禁物なアイテムだから、それだけで生活臭とは無縁な存在だと演出できる。
 40歳を前にした今でも、真っ白なスリムジーンズを履いている私は、密かに「イケテる男だ」と思っている。家内も「その歳にしてはイケテるよ」などと褒めてくれる。いやいや、家内もその歳の割には若いころからのスタイルをキープしていて「イケテいる」と私は思う。彼女も「ホワイトジーンズ」派である。
 私は自営業の気楽さもあって、仕事場の行き帰りにも、たいてい白のジーンズを履いている。

 年末のその日もフリーランスな自分の事務所での仕事が終わって、いつもの地下街を通り抜け、最寄りの地下鉄の駅に向かっていた。年末だから、夜の10時ころだというのに、忘年会帰りの人たちで地下街は結構な数の人々で溢れていた。
 駅に向かって歩きながら、ふと、視線を上げると、私の前を若い男女の四人連れが同じ方向に歩いている。サラリーマンと思しき二人の男性たちは左側、その職場の同僚と思しき二人の女性たちは右側を歩いていた。4人とも少しだけ忘年会の余韻を楽しみながら、じゃれあって左右にふらついているようだ。彼らを見ていると、自分の青春時代を思い出す。
 (若者たちよ! これから、いろいろな苦労や不満や悲しみが君たちに襲いかかるだろう。でも、それに負けるな! ガンバレよ!)
私は心の中で4人にエールを送った。
 と…、その時、私の目は、右から二人目の女性のお尻に目が釘付けになった。
 彼女は真っ白なダウンジャケットを羽織り、私と同じように真っ白なジーンズを履いていた。
 ところがっ!
 その真っ白なジーンズのお尻の部分は、握り拳くらいの真っ赤な紅に染まっていたのだ!!
 私はその瞬間、彼女の身体の事情を理解した。
 (言うべきか否か。おそらく彼ら4人はソレに気がついていないのだろう。周りの歩行者たちもそれに気づいてはいないようだ。どうするべきか、どうするべきか、どうする、おい、どうする?!)
 私は確たる自覚もなしに彼らに追いつき、思い切って右端の女性に声をかけた。
「あ、あ、あの…」
 当然ながら、右端の女性は怪訝な顔を私に向けた。同時に、彼女の隣の「白地に赤」の女性も立ち止まり、若い男性2人も瞬時に眉間に訝しさを漂わせ振り向いた。
「あ、あの…あなたの…隣の」
 こんなときに限って言葉がうまく出て来ない! 
(ええい! まずは行動あるのみ!)
私は着ていたイタリア製の革のコートを「白地に赤」の女性の腰に巻き付けた。だが、これがいけなかった…。
「何すんだこの野郎ォ!」と突然男性Aが私を突き飛ばした。私は地下街の通路に仰向けにもんどりうった。と、間、髪を入れず、男性Bが最近流行りの先の尖った靴で私の喉を蹴った。「ヘンタイジジイ!」「死ね、このヤロウ!」という叫び声と、彼らの蹴りを受けながら、私がすでに涙目になっている視線を「白地に赤」の女性に送ると、彼女は両手の握り拳を口に当てている。何が起こったのか理解できていない表情だ。
 私は喉を蹴られたので、すぐには言葉が、いや「声」すら出ない状況ではあったのだが、なんとか事態を知らせようと思い、「オイイイ、イア、イア…(お尻に、血が、血が…)と言ったつもり…だった。
 「ああ? クソヘンタイオヤジィ、なんとか言ってみろこのヤロー!」と男性Aが私のみぞおちの辺りを、やはりつま先のとがった靴で蹴った。
 「ワケワカンナイコト、ホザイテンジャネェ!」と男性Bが私の肛門当たりに思いっきり蹴りを入れた。
 「フグゥッ!」
 私は悶絶した。
 その後も頭やら、男性の大事な部分やら、背中やら、後頭部やらを二人に蹴られたように思う。ひとしきり私を蹴り終わった彼らは、興奮と憤怒と充実を感じながら駅に向かって歩いて行った。「白地に赤い丸」の女性もどんどん私の目に滲みながら遠ざかっていった。
 (オ、オ、オフィフィイ…ヒ…ア…ヒ……ア…)
 私はなおも大声で、いやささやくように、いや…心の中で叫んでいた。
 やがて、叫びながら(?)彼らを見送っていた私の耳元で男性と思しき声が聴こえた。
 「あ〜あ〜、これ肛門避けちゃってるな〜」
 「白いジーンズが真っ赤だな」
 「始まっちゃったのかな? ははは」
 「おい、ストレッチャー載せるぞ」
 「あいよ〜」
 
 私は年末年始を病院で過ごした。
 やっと帰った頃には桜のつぼみが赤く膨らんでいた。

 今、私は車椅子で自分の仕事場に通っている。
 あの地下街を通り抜けて………

-------------------------------------------------
ちょっとした親切心も、時として誤解を生み、仇になることがあるでしょう。
自分では親切だと思っていることでも、相手には「余計なお世話」になることもあります。
人間は哀しい……



posted by 塾長 at 00:56| Comment(0) | どうでもいい話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

✨心温まるクリスマス・メルヘンです🎄 forkN用タイトルのコピー.jpg
ご購入はこちら(Amazon.co.jp)!!